園長つうしん
園長通信(令和7年12月号)
園長つぶやき~園関係者が「みんなのなかで、やりたいことをする人」に~
「自立と依存は表裏」
いよいよコートが必要な冬らしい気候になりました。
今年も子どもたちは寒さに負けず過ごしています。
10月末のNHKスペシャルで、神戸の「ごちゃまぜ長屋」について放送されました。
この神戸長田区にある「ごちゃまぜ長屋」、株式会社「はっぴーの家ろっけん」が運営する共同住宅、多世代型・介護付きシェアハウスです。
この介護施設は、軒先やリビングを地域に開放し、いろいろな人が自由に出入りして様々な交流がなされます。
介護施設に入居する方、そこで働く介護士の方だけでなく、放課後に宿題をやりに来る小学生や近所の方を交えた何気ない交流が、当たり前のようにされています。
番組後半、その人たちの関わり合い・人間関係を考えさせる山場があります。
がん治療入院から戻ってきた入居者の女性が、他の入居者と会話する場面。
その女性は元介護士で、自身も入居者でありながら他の入居者のお世話をする面倒見の良い方で、入居者の方々にとても慕われています。
「あなたがいなくて寂しかった、これからも助けてね」
「わかった、でも私も助けてね」
「私(車いす生活で、立つことも難しい状況なので)何にもできないよ」
「いやいや、私、あなたに助けてもらっているよ」
今の経済・教育界では、主体性、自己実現など個の自立を表すワードがよく出てきます。
しかし、この「ごちゃまぜ長屋」を見ていると、自立した人が一人だけで生きていくことが、本当の幸せなんだろうかと考え込んでしまいます。
真の自立とは、個の自立を目指しながらも周りに助けを頼める、ではないでしょうか。
「この事業を成功させようとするから、みんなの助けをください」と言えることと、
「おむつ変える間、ちょっと下の子見ててくれない?」は同じではないでしょうか。
自立と依存は表裏と言われるように、よい自立をしようとするなら、いい依存ができなければならないでしょう。
みんなのなかで、やりたいことをする人は、そんな人物像と重なるのです。
2025年12月1日
