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園長通信(R7年7月号)

園長つうしん

園長つぶやき~園関係者が「みんなのなかで、やりたいことをする人」に~
「民主主義の危機は、考える機会の減少」
梅雨時期にも関わらず暑い日が続く状況ですが、子どもたちは元気に過ごしています。
園内では、この時期ならではの水遊びや、運動会に向けての活動が始まりつつあります。
運動会では、年長さん達が「お手伝い隊」として活躍してもらいますが、たそがれコンサートの経験を踏まえて、本格的に自分たちが他人のために考えて活動します。
自分だけでなく他人の幸せを予想し、何をすべきかを考える大事な経験です。
この経験は近年特に重要性を増していると思っています。
それは民主主義の危機が迫っていると考えているからです。

「昨年11月のルーマニアの大統領選挙で、下馬評では最下位だったTikTokerの革命児と言われる人が勝ちました。しかし選挙で違法があったとして裁判所から選挙無効審判が下り、5月に再選挙した」という出来事がありました。
民主主義の議会は、皆さんもご存じのように多数決で法案が決まっていきます。
ただ多数決がより民主的に決まる原則としては、選挙民に考える力があるかどうかです。
選挙民に考える力がないと、迎合的・感覚的に物事を判断し、将来の幸せに向かって新しい判断ができることはなくなります。
先のルーマニア大統領選挙は、TikTokによって国民が扇動されたといえそうで、実は日本でもこの傾向は出始めています。

さらには、最近身近に溢れるAIは、人の考える行為を代行する力を持っています。
試験レポートにAIを使う学生と、その使用を暴くためにAIを活用する学校のイタチごっこもニュースになりました。
もうSNSやAIは避けることのできないほど生活に溶け込んでいます。
民主主義の危機の根本は、SNSやAIの進化ではなく、人の考える機会の減少です。

考える力を鍛えるには、考える機会を沢山もつこと、その考える機会に他者と話し合いながら磨いていくこと、今のSNSやAI社会は、その機会を多く奪っています。
だからこそ、教育界はその状況を意識し、当園の「お手伝い隊」のような子ども自身が考える機会 を多く作り、思考する力を育むことが必要だと考えています。
ちょうど子どもに、我々自身が考える力を見せれそうな参議院選挙があります。この機会に、SNSやAIに負けない考える姿を見せながら民主主義の向上に貢献しませんか?