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園長通信 5月号

園長つうしん

園長つぶやき~園関係者が「みんなのなかで、やりたいことをする人」に~

「高校生大谷を指導した佐々木監督、教えるべきは目標の立て方」

新年度が始まって一ケ月、新入園児たちの個性が見え始める時期となりました。

新たなクラスと担任の先生たちとの信頼関係が出来だした様子を見せています。

 

少し前に、メジャーで活躍する大谷翔平や菊池雄星を育てた、花巻東高校の佐々木洋監督のインタビュー記事を拝見しました。

佐々木監督の指導は「野球部員を勝たせて甲子園に連れていくことではなく、その後の

60年以上を勝たせることだ」という考えのもとで行われているという。

当園の理念と重なるなと少しおこがましい共感を抱き、年齢を見ると私と同年齢でした。

 

さてその佐々木監督が大切にされていることは「大人は子どもに、目標設定の仕方をしっかりと教えることが重要である」ということでした。

目標とは、最終ゴールである目的に向かうためのマイルストーンで、「60年以上勝たせる」という目的のために、今現在達成すべき具体的な行動指標で、例えば「今年度この練習を欠かさず毎日行う」という行動を自分で考えて立てるものです。

何を学ぶかは、自分が何を目指すのか、何を達成したいかによって動機付けられますが、

従来の日本の教育は、何を学ぶかを相手から与えられる方式が多く、大学に入って初めて卒論を書くために何を学ぶかを考えることに出会います。

つまり自分で目標を設定せずとも、大学まで行けてしまう現状があります。

 

佐々木監督は、「目標の立て方は諸学校で教えるべき、子どもが習得するべき最も大切なこと」として、その目標を立てるために大人は、曖昧な状態の子どもの考えに、大人が質問を繰り返しながら明確化する援助をするそうです。

この目標を立てる例として、大谷選手が高校時代に実践していた「8球団からドラフト一位される」という目的を達成するためのマンダラチャートは有名です。

佐々木監督は高校時代の大谷翔平に、マンダラチャートの表を教えたのではなく、マンダラチャートを使って目標を立てる考え方を教えたのでしょう。

もちろん従来大切にされてきた、正しいことを正確に効率よく教える能力は必要です。

ただそれ以上に、正しいかどうかわからないが自分なりの正解を主体的に導くための能力が、これからの教育界では求められています。

 

佐々木監督インタビュー記事と同時期に、「AIが人を欺く」という記事がありました。

オンラインのゲームで勝つために仲間の人間を裏切ったり、視覚障害者のふりをして見知らぬ人の助けを借りたりするそうです。

少し前までは「AIが嘘をつく(ハルシネーション)」という実際には存在しない、事実に基づかない情報を生成する現象がありました。

AIの嘘は、知識不足、理解力不足、トレーニング方法に特有の欠点等、今後改善できそうな原因の問題でしたが、今回の「AIが人を欺く」はAIのミスではない問題です。

人の言う通りだけ、AIの言う通りだけ行っていては、自分の道に迷いそうです。

目的や目標に向かう手立てを自分なりに得ることが、必要な世の中になってきました。

益々自身の生き方を自分で考えることが求められているようです。