TOPICS

園長通信(令和5年3月号)

園長つうしん

園長つぶやき~園関係者が「みんなのなかで、やりたいことをする人」に~

先月の劇あそび会は、3年ぶりに全園児保護者が一斉観覧できる形態で実施できました。寒さが和らぎ始めた今、政府の方ではアフターコロナを感じさせる情報がどんどん出てきて、新たな幕開けを感じさせます。

 

さて、最近のニュースで「ブラック校則」を是正する内容の報道がありました。

組織や上司・先生が決めたルールを、現場や部下・生徒が積極的に変更を求めようとしない日本人が、このような行動を見せたことはとても面白い傾向です。

 

ただ一方で、ルールを無くした後は大丈夫なんだろうかと思うことがあります。

それは、「自分たちが所属する組織のルールを、多様な価値観の中で自分たちで作り変える力を、今の日本人は持っていますか?」という思いです。

例えば、「男子短髪・女子おかっぱ、髪の色黒」のルールを廃止した後、どんな髪型で、どんな色までならOKなのかを考え、共有する力は持っているでしょうか?

単にルールがなくなり、それぞれの価値観で振る舞うでは、単なる無法地帯になり、結局心地よさが失われ、不自由になる場合があります。

 

子どもの権利条約で「意見を表明し参画できる」という権利があります。

そもそもこの権利を行使できる機会は、学校教育ではあまりありませんでした。

しかし、過去インターネットやテレビゲームのない時代の子ども達は、様々な年齢・能力の子どもがたくさんいる中で、遊びながら自分たちでルールを作ることを体験していました。

低年齢児を特別扱いして遊びに参加してもらう「ごまめ(うつぼ)」というルールは、知っている保護者もおられるかもしれません。

 

ルールで大切なのは、何かを縛り付けるものではなく、そのルールでどうみんなが心地よくなるか、そうするにはどうすればいいか考えることです。

ルールを作る上みんなの大事にしたいものは何か、絶対に譲れないものは何か、譲ってもいいものは何か、を共有して合意していく。

そしてできた合意を、多様な視点から意見をもらう。

 

でももう、自分たちでルールを作れるような豊かな地域社会はありません。

園では、何かを合意する機会を大切にして保育しています。

是非皆さんも、ご家庭にあるルールを、次年度に向けて子どもと一緒に見直されてはどうでしょうか?