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園長つうしん(令和3年5月号)

園長つうしん

日に日に温かさが増し、園の新緑がまぶしくなる季節になりましたが、緊急事態宣
言のさなかではありますが、園児たちは徐々に園に慣れてきているようです。

昨年度から続くコロナ禍の中で、これからは「予測困難な時代」に立ち向かう人材
を育てることが大事だと、教育界でよく言われるようになりました。

当園も、保育・行事を「予測困難なコロナ」に対応しながらも、出来るだけ実施で
きるように園内で検討しながら判断をしていますが、教育界や経済社会だけでなく、
皆様のご家庭でも同様に「予測困難な時代」を体験している最中だと思います。
買い物に行くことから家族で外出することまで、日に日に状況が変化し、何が正解
か判別しにくい不確実・曖昧な情報を基に、様々な利害が入り混じる要因を踏まえ、
行くかどうかを判断する日々に疲れがでているのではないでしょうか?

こんな「予測困難な時代」を判断してゆくには、考え方が大事になります。
その考え方の一つに、「事実」と「解釈」を分けて判断する方法があります。
「事実」とは、映像等の記録、数字の結果・公的な科学的知見などで、コロナに関
することだと、「現在まで、日本では新型コロナウイルス感染によって死亡した2
0歳未満の人はいない」、「感染例が多くみられる場面は、飲食、家庭や寮などの共
同生活、マスクなし会話」です。
「解釈」とは事実から得られる情報から予測することです。

職員のマスク着用が、子どもの言語発達を妨げる影響があるかどうかも、「事実」
から「解釈」して検討しています。
「事実」とは、当園の子どもの様子に限ってですが、例年同様の言語成長を見せて
います。
また、東京大学大学院教育学研究科附属 発達保育実践政策学センターの調査によ
る「マスクがあっても感情伝達は十分可能」「顔の上部だけでも表情は豊かに伝わ
る」との調査結果がでています。
この「事実」を踏まえ、家庭で同居者はマスク着用していない傾向が多いだろうか
ら、職員がマスクを着用することで、子どもの言語発達を阻害することはないだろ
うと「解釈」しました。

このコロナ対策のような「予測困難な事象」に対しては、「事実」に基づきながら
「解釈」するしかありませんし、そのように考える癖をつけないと、分からないコ
ト自体が不安要因となり、その時の感情や、SNS・ゴシップ情報・噂に行動を左右
される人間になってしまうかもしれません。
子どもに「考えて行動しなさい」という前に、大人が様々な考え方を持って行動す
ることが大事なのではないでしょうか。

最後に、当園のような少し思い切った保育展開ができるのは、保護者の方々が毎日
の検温や健康観察等の継続をして、新型コロナウイルスに「うつらない」「うつさ
ない」努力をしていただいているからだと思っています。
これらの努力のお陰で、園内にウイルスが持ち込まれていない前提で保育ができて
いると思っています。
この場を借りて、心より厚く感謝申し上げます。

(参考)【厚生労働省 HP】
『データからわかる 新型コロナウイルス感染症情報』
https://covid19.mhlw.go.jp/
『(2021 年3月時点)新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する 11 の知識』
https://www.mhlw.go.jp/content/000749530.pdf

(参考)【大阪府 HP】
『第 48回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議・【資料1-1】現在の感染状況について』
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38215/00393662/1-
1_kansenzyoukyou0506.pdf